サブリース契約の規制|家賃保証の説明で守られること
- サブリースの規制とは、一括借上げを行う事業者に対して法律が課している義務をいいます。根拠は賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律です。
- 広告では、家賃・維持保全の実施方法・解除に関する事項などについて、著しく事実に相違する表示や、実際より著しく優良・有利と誤認させる表示が禁じられています。
- 勧誘の際に、判断に影響する重要な事項について故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為も禁じられています。解除を妨げるための行為も同様です。
- 契約の前に、書面を交付して説明する義務があります。契約後にも書面の交付が必要です。
- つまり「聞いていなかった」を防ぐ仕組みが法律に用意されています。書面を受け取り、読んでください。
サブリース契約の規制とは、一括借上げでアパートを借り上げる事業者に対し、広告や勧誘、契約前の説明について法律が課している義務のことです。かつては「家賃保証」という言葉だけが独り歩きし、後から減額されて争いになる例が相次ぎました。いまは、事業者が何を説明しなければならないかが法律で定められています。本記事では、オーナーの立場から知っておくべき規制の中身を条文にもとづいて整理します。なお個別の契約については弁護士にご確認ください。
広告で禁じられていること
第28条は、特定転貸事業者または勧誘者(あわせて特定転貸事業者等)について、特定賃貸借契約の条件を広告するときの規制を定めています。
特定賃貸借契約に基づき特定転貸事業者が支払うべき家賃、賃貸住宅の維持保全の実施方法、特定賃貸借契約の解除に関する事項その他の国土交通省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
条文が名指ししている3つに注目してください。
- 事業者が支払うべき家賃
- 賃貸住宅の維持保全の実施方法
- 特定賃貸借契約の解除に関する事項
3つめが入っているのは偶然ではありません。解除の条件は、オーナーにとって最も影響が大きく、かつ最も伝わりにくい部分だからです。「いつでもやめられる」かのような表示は、この規制に触れ得ます。
勧誘で禁じられていること
第29条第1号は、次の行為を禁じています。特定賃貸借契約の締結の勧誘をするに際し、またはその解除を妨げるため、相手方または相手方となろうとする者に対し、判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為です。
ここでも「解除を妨げるため」が明記されています。契約を取るときだけでなく、やめようとするときの言動も規制の対象だということです。
また第2号は、これ以外にも相手方の保護に欠けるものとして国土交通省令で定める行為を禁じています。条文に列挙されたものだけが規制の対象ではない、という建て付けです。
実務的な意味はこうです。「家賃は下がりません」「途中でやめられます」と言われたのに、契約書には違うことが書いてある。この状態は、法律が想定している問題そのものです。口頭の説明と書面が食い違うなら、その場で確認してください。
保有を続けた場合と売った場合を、同じ物差しで並べます
サブリースの条件が収支にどう効いているかを整理します。契約書をお持ちいただければ、内容を一緒に確認します。ご相談は無料です。
契約前に、書面で説明を受けられます
第30条第1項は、特定転貸事業者は特定賃貸借契約を締結しようとするとき、相手方となろうとする者に対し、契約を締結するまでに、契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならないとしています。
ここで除かれているのは、特定転貸事業者である者その他の専門的知識及び経験を有すると認められる者として国土交通省令で定めるものです。一般のオーナーは、説明を受ける側にあたります。
なお第2項により、相手方の承諾を得れば、書面の交付に代えて電磁的方法で提供することもできます。
さらに第31条は、契約を締結したときにも、遅滞なく次の事項を記載した書面を交付しなければならないとしています。
- 特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅
- 相手方に支払う家賃その他賃貸の条件に関する事項
- 事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法
つまり契約前と契約後の2回、書面が渡される仕組みです。どちらも保管しておいてください。後から条件を確認するときの根拠になります。
書面で必ず確かめる4点
書面を受け取っても、読まなければ意味がありません。最低限、次の4点は目を通してください。
| 確認すること | なぜ重要か |
|---|---|
| 家賃の改定に関する定め | 「保証」でも見直しの条項があれば金額は変わり得る |
| 免責期間の有無 | 引渡し後の一定期間、家賃が支払われない定めがあることがある |
| 維持保全の範囲と費用負担 | 修繕をどちらが負担するかで手残りが変わる |
| 解除の条件と手続き | やめたいときに何が必要か。違約金の有無も含めて |
とくに1つめです。家賃保証という言葉は、金額が未来永劫変わらないという意味ではありません。多くの契約には、一定期間ごとに賃料を見直す条項が入っています。書面にその定めがあるかどうかを確かめてください。
2つめの免責期間も、収支計画に直接効きます。引渡しから数か月は家賃が入らない、という定めがあれば、その分は最初から計算に入れておく必要があります。
3つめの維持保全は、言葉が抽象的なぶん誤解が生まれやすい部分です。日常の清掃や点検までなのか、設備の交換や大規模な修繕まで含むのか。ここが曖昧だと、いざ修繕が必要になったときに「それは含まれていません」という話になります。書面で範囲を確認してください。
4つめの解除は、条件だけでなく手続きも見ておいてください。いつまでに、どういう形で申し入れる必要があるのか。違約金の定めがあるのか。やめたくなってから読むのでは遅い部分です。
借地借家法との関係
もうひとつ知っておいていただきたいのが、サブリース契約も建物の賃貸借である以上、借地借家法の適用を受けるという点です。
オーナーが貸主、サブリース事業者が借主という関係になります。したがって、オーナーの側から契約を終わらせようとする場合、更新拒絶や解約申入れには正当の事由が必要になり得ます。
「自分が貸しているのだから、いつでもやめられる」とはならないということです。ここが、サブリースをやめにくいと言われる法律上の理由です。
正当事由の考え方は入居者に退去してもらって売るで整理しています。相手が個人の入居者か事業者かで事情は変わりますが、条文の建て付けは同じです。
売却するときはどうなるか
サブリース契約が付いた物件を売る場合、その契約は原則として買主に引き継がれます。買主から見れば、賃料も解除の条件もそのまま受け取ることになります。
そのため、買主は契約の中身を細かく確認します。賃料の改定条項、免責期間、維持保全の負担、解除の条件。これらが不利な内容であれば、その分だけ価格は下がります。
逆に言えば、契約書を整理して正確に示せることが、価格を守ることにつながります。「よく分からない」という状態では、買主は保守的に見積もらざるを得ません。
なお、売却を機にサブリースを解消してから引き渡す、という進め方を希望される方もいます。ただし前述のとおり、オーナーの側から終わらせるには正当の事由が問われ得ます。解消を前提に日程を組むと、思うように進まないことがあります。まずは付いたまま売った場合の価格を確かめ、そのうえで判断されることをおすすめします。
売り方の選択肢や引き継ぎの実務はアパート売却でサブリース契約はどうなるで詳しく整理しています。引渡し後の責任については契約不適合責任と告知もあわせてご覧ください。
保証のある収支と、実際の収支を並べる
サブリースの条件を判断するには、保証があるときの手残りと、自分で貸した場合の手残りを並べるのがいちばん確実です。
一括借上げでは、事業者に支払う分だけ受け取る賃料が下がります。その代わりに空室の影響を受けにくくなる、という交換です。この交換が割に合っているかどうかは、物件によって違います。
入居が安定している物件であれば、下がった分がそのまま負担になります。逆に空室が続きやすい物件では、保証の価値が大きくなります。つまり、物件の入居の実態を知らないと、サブリースの是非は判断できません。
比べるときは、次の要素をそろえてください。受け取る賃料、修繕の負担がどちらにあるか、免責期間の有無、募集にかかる費用を誰が持つか。賃料の差だけを見て「損だ」と判断するのは早計です。管理の手間や募集の費用まで含めて比べてはじめて、正しい比較になります。
実質で見る考え方は表面利回りと実質利回りの違いで整理しています。
これから検討する場合
サブリースそのものを否定するつもりはありません。空室の心配を減らし、管理の手間を省ける仕組みであることは確かです。遠方にお住まいの方や、手間をかけられない事情がある方には合うこともあります。
問題になるのは、中身を理解しないまま契約したときです。だからこそ法律が説明の義務を課しています。
| 進め方 | やること |
|---|---|
| 1 | 契約前の書面を受け取り、その場で読む |
| 2 | 口頭の説明と書面が一致しているか確かめる |
| 3 | 家賃の改定・免責期間・維持保全・解除の4点を確認する |
| 4 | 保証がない前提でも収支が成り立つか計算する |
| 5 | 疑問が残るなら、その場で契約しない |
4つめが要点です。家賃が下がっても回るかどうかで判断してください。保証を前提にしないと成り立たない計画は、その保証が見直されたときに崩れます。
5つめも大切です。その場で契約を求められ、考える時間を与えられないようであれば、いったん持ち帰ってください。法律が契約前の説明を義務づけているのは、判断する時間を確保するためでもあります。急がせる相手とは、条件を確かめないまま進めないほうが安全です。
すでに契約している場合
いま契約中の方は、まず契約書と、契約時に受け取った書面を探してください。条件が分からないままでは、続けるべきか見直すべきかの判断ができません。
そのうえで、賃料が改定された経緯があるなら、その通知も残しておいてください。当初の条件からどう変わってきたかが、今後の見通しを立てる材料になります。
もし説明を受けた内容と実際の運用が食い違っているようであれば、弁護士にご相談ください。法律が禁じている行為に当たる可能性があります。当社でも、必要に応じて連携している専門家をご紹介しています。投資で起こりやすい失敗の型は投資で失敗する4パターンで整理しています。
よくあるご質問
- e-Gov法令検索 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(第28条 誇大広告等の禁止・第29条第1号 不当な勧誘等の禁止・第30条 契約前の書面交付と説明・第31条 契約時の書面交付)
- e-Gov法令検索 借地借家法(第28条 建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
2026年9月22日時点の内容です。個別の契約条項の効力や、規制に該当するかどうかの判断は弁護士にご確認ください。
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