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家賃滞納があるアパートは売却できる?対処と価格

この記事の要点

  • 家賃滞納がある状態でもアパートは売却できます。ただし、滞納は収益価格を下げ、買主の警戒も招くため、そのまま売ると不利になりがちです。
  • 滞納があると、買主は「その家賃は本当に入るのか」と考え、滞納住戸を空室に近い扱いで評価することがあります。実質の収益力が落ちて見えるためです。
  • 売却前の対処は、①滞納を解消する ②退去してもらい空室として整理する ③滞納の事実を開示して現況で売る——の3つ。回収の見込みで選びます。
  • 滞納債権(未収の家賃)は原則として売主に残ります。引き継ぎの扱いは契約で明確にし、買主とのトラブルを防ぎます。

「家賃を滞納している入居者がいるが、この状態でアパートを売れるのか」——収益物件のオーナーから寄せられる悩みのひとつです。結論から言えば、滞納があっても売却は可能です。ただし、滞納は収益価格を押し下げ、買主の警戒も招くため、そのまま売り出すと不利になりがちです。本記事では、家賃滞納がある物件の価格への影響と、売却前にできる対処、契約時の注意点を整理します。仕組みを知れば、取るべき手が見えてきます。なお本記事の内容は一般的な目安であり、個別の判断・法的手続きは専門家にご確認ください。

滞納は価格にどう影響するか

収益物件の価格は、実際に入っている家賃を利回りで割り戻した収益価格で決まります。ここで問題になるのが、滞納している住戸の家賃を、買主がどう評価するかです。

レントロール(賃貸状況の一覧)上は入居中でも、家賃が入っていなければ、実際の収入にはなりません。買主は「この家賃は本当に入るのか」と考え、滞納住戸を空室に近い扱いで評価することがあります。つまり、滞納は実質的に空室と同じように収益価格を押し下げる可能性があるのです。さらに、滞納者を引き継ぐことは、買主にとって督促や明け渡しの手間・費用を負うリスクでもあります。この不安が価格交渉での値引き材料になります。空室が価格に与える影響の考え方は空室率が高いアパートを売る時の価格の見方が参考になります。

見落とされがちですが、滞納は「空室より厄介」と受け止められることもあります。空室なら募集して埋めればよいのに対し、滞納は入居者がいるまま家賃だけ入らない状態で、督促や明け渡しといった対応が必要になるためです。しかも、その対応には時間も費用もかかり、法的な手続きが必要になることもあります。買主から見れば、「収入にならない部屋を、簡単には空けられない」状態であり、その分だけ慎重に評価されるのです。

収益価格滞納住戸は空室に近い扱いで評価されうる
引継ぎ負担督促・明け渡しの手間を買主が警戒
滞納債権未収家賃は原則として売主に残る

売却前にできる3つの対処

滞納がある物件を売る前に取れる対処は、大きく3つです。滞納の回収見込みと、かけられる時間で選びます。

対処 内容 向くケース
①滞納を解消する 督促・分割弁済で支払ってもらう 短期の滞納・回収の見込みあり
②退去してもらう 合意解約や明け渡しで空室化 長期滞納・回収が困難
③現況で売る 滞納を開示したまま売却 時間をかけたくない・買主が承知

①は、滞納が短期で、入居者に支払う意思と能力があるなら現実的です。滞納が解消して入金が正常化すれば、レントロールが整い、収益価格も回復します。②は、長期滞納で回収が難しい場合。合意のうえ退去してもらい、空室として整理したほうが、買主にとってはむしろ分かりやすくなります。空室なら「埋めればよい」と考えられるためです。③は、時間をかけたくない場合。滞納の事実を開示したうえで、それを承知の買主に売ります。どれを選ぶかは、滞納の期間・金額・回収の見込みによって変わります。時間をかけて①や②で整えてから売るほうが価格は良くなりますが、その間の手間と精神的な負担も考慮に入れて選んでください。

滞納がある物件、いくらで売れるか・どう整理すべきかご相談ください。

滞納の状況を踏まえた想定価格と、解消・退去・現況売却のどれが有利かを、中立の立場でお伝えします。難しい事情も含めて、代表・井口が秘密を守って直接ご相談に応じます。まだ売ると決めていない段階で構いません。

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対処①:滞納を解消してから売る

最も価格への影響が小さいのは、滞納を解消してから売る方法です。滞納が解消し、家賃の入金が正常に戻れば、レントロールは満室として扱われ、収益価格も本来の水準に戻ります。

具体的には、管理会社を通じた督促、連帯保証人への請求、家賃保証会社が付いていれば保証会社への請求、といった手順です。滞納が数か月以内で、入居者に支払う意思があるなら、無理のない分割での弁済を取り決めて、正常化を図ります。滞納が解消して数か月、安定して入金が続けば、買主も安心して評価でき、レントロールも自信を持って提示できます。時間はかかりますが、価格への影響を最小限にできる方法です。満室のタイミングで売る意味は満室アパートを売るタイミングもあわせてご覧ください。

ここで押さえておきたいのが、家賃保証会社と連帯保証人の存在です。家賃保証会社が付いている場合、滞納分は保証会社が立て替えて支払うため、オーナー側の実害は小さく、買主の不安も軽減されます。保証会社が付いていない場合は、連帯保証人への請求が次の手段になります。売却を考えるなら、各住戸の保証の状況(保証会社の有無・保証の範囲)を整理しておくと、買主への説明材料になり、評価も下がりにくくなります。

対処②:退去してもらってから売る

長期滞納で回収の見込みが立たない場合は、退去してもらって空室として整理するほうが、売却はスムーズになることがあります。滞納者が居続ける物件は買主にとってリスクですが、空室であれば「募集して埋めればよい」と、対処の道筋が見えるためです。

退去の方法としては、話し合いによる合意解約が基本です。それが難しい場合、賃貸借契約の解除と明け渡し請求という法的手続きになりますが、時間と費用がかかります。滞納が続いていても、賃借人の保護が働くため、明け渡しには一定の要件と手順が必要です。無理に自力で退去させようとするのは避け、弁護士など専門家に相談しながら進めてください。空室として売る場合の価格の考え方は空室が多いアパートの売却で解説しています。

なお、明け渡しには数か月から一年程度かかることもあり、その間は家賃も入りません。売却を急ぐ事情があるなら、退去を待たずに現況で売るほうが合理的な場合もあります。退去にかかる時間・費用と、それによる価格の改善を比べて判断してください。

注意:滞納があるからといって、鍵を替える、荷物を運び出す、といった自力での実力行使は法的に認められません。正当な手続きを踏まないと、逆に損害賠償を求められるおそれがあります。滞納の解決は、管理会社・保証会社・弁護士など、正規の手順で進めてください。売却を急ぐあまり無理な対応をすると、かえって話がこじれます。

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滞納の状況・回収の見込み・時間の制約を踏まえ、それぞれの手残りを並べてご提案します。他社の査定のセカンドオピニオンにも対応します。ご相談だけでも構いません。

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対処③:現況のまま開示して売る

時間をかけられない場合は、滞納の事実を開示したうえで現況のまま売る方法です。滞納は買主の判断に影響する重要な事実であり、隠したまま売ることはできませんし、隠すべきでもありません。レントロールに滞納の状況を正確に記載し、いつから・いくら滞納しているか、督促の経緯はどうかを伝えます。

買主は、滞納住戸を空室に近い扱いで評価するため価格は下がりますが、その分を承知で買う投資家もいます。滞納者への対応に慣れた投資家や買取業者なら、自ら督促や明け渡しを進める前提で購入します。価格は控えめになりますが、手間と時間をかけずに手放せるのが利点です。買取の価格の見方は買取業者に売る前に確認したい価格の根拠、難物件の買主層の考え方は買主が付きやすい一棟収益物件の条件も参考になります。

滞納の期間別・取るべき対応

同じ「滞納あり」でも、期間によって深刻度と取るべき対応は変わります。目安を整理します。

滞納の期間 状況の見方 売却に向けた対応
1〜2か月 一時的な遅れの可能性 督促で解消し、正常化してから売る
3〜6か月 支払い能力に懸念 保証会社・保証人へ請求/退去も検討
6か月以上 回収が困難なことが多い 明け渡しで空室化、または現況で売却

1〜2か月の滞納なら、督促で解消できることも多く、正常化を待ってから売るのが有利です。3か月を超えると支払い能力への懸念が強まり、家賃保証会社や連帯保証人への請求を含めた対応が必要になります。6か月以上の長期滞納は回収が難しいことが多く、明け渡して空室として整理するか、現況のまま開示して売るかの判断になります。滞納は時間が経つほど選択肢が狭まり、価格への影響も大きくなるため、早い段階で方針を決めることが大切です。

滞納債権と契約時の注意点

売却時に整理しておきたいのが、滞納債権(未収の家賃)の扱いです。売買によって賃貸人の地位は買主へ移りますが、引渡し前に発生していた未収家賃を請求する権利は、原則として売主に残ります。つまり、過去の滞納分は売主が引き続き請求でき、買主は引渡し後の家賃を受け取る、というのが基本です。

ただし、当事者の合意で扱いを変えることもできるため、売買契約で明確に取り決めておくことが重要です。「滞納分は誰が回収するのか」「回収できた場合の精算はどうするか」を曖昧にすると、引渡し後にトラブルになります。あわせて、敷金の引き継ぎや、滞納者への対応をどちらが引き継ぐかも整理します。これらは宅地建物取引士や弁護士に確認しながら、契約書に落とし込んでください。誠実に整理しておくことが、後の紛争を防ぎます。売却の進め方は収益物件の仲介もご覧ください。

最後に、滞納があるからといって売却を諦める必要はない、ということを強調しておきます。滞納は確かに不利な材料ですが、対処の道筋はあり、承知で買う買主も存在します。大切なのは、滞納の状況を正確に把握し、解消・退去・現況売却のどれが自分にとって有利かを数字で比べたうえで、誠実に開示して売ることです。放置して滞納が積み上がるほど不利になるため、方針を早めに決めることをおすすめします。まずは現状でいくらになるのかを把握し、そのうえで整えてから売るかを決めるとよいでしょう。

よくあるご質問

家賃滞納がある状態でも、アパートを売却できますか?
できます。ただし、滞納は収益価格を押し下げ、買主の警戒も招くため、そのまま売ると不利になりがちです。売却前に滞納を解消する、退去してもらって空室として整理する、あるいは滞納を開示して現況のまま売る、という3つの対処があります。滞納の期間・金額・回収の見込みによって、どれが有利かが変わりますので、まず状況の整理から始めてください。

滞納があると、価格はどのくらい下がりますか?
買主は滞納住戸を空室に近い扱いで評価することがあり、その分だけ収益価格が下がります。加えて、督促や明け渡しの手間・費用を買主が負うリスクとして、価格交渉の材料にもなります。滞納が長期で回収が難しいほど影響は大きくなります。滞納を解消してから売れば、価格への影響を最小限に抑えられます。

滞納分の家賃は、売却後に誰が受け取れますか?
原則として、引渡し前に発生していた未収家賃を請求する権利は売主に残ります。買主は引渡し後の家賃を受け取ります。ただし、当事者の合意で扱いを変えることもできるため、売買契約で「滞納分は誰が回収するか」「回収できた場合の精算はどうするか」を明確に取り決めておくことが重要です。曖昧にすると引渡し後のトラブルになります。

滞納者に退去してもらってから売るべきですか?
長期滞納で回収の見込みが立たないなら、退去してもらって空室として整理するほうが売却はスムーズなことがあります。滞納者が居続ける物件は買主にとってリスクですが、空室なら「募集して埋めればよい」と道筋が見えるためです。ただし明け渡しには時間と費用がかかり、法的手続きが必要な場合もあるため、弁護士等に相談しながら進めてください。

家賃保証会社が付いていれば、滞納は問題になりませんか?
保証会社が付いていれば、滞納分が保証で補われるため、買主の不安は小さくなります。実際、保証会社の有無は買主が重視する点のひとつです。ただし、保証の範囲や期間には限りがあり、保証が及ばない部分は残ります。保証会社の契約内容(保証の範囲・限度)を確認し、買主に正確に伝えられるよう整理しておくと、評価が下がりにくくなります。

滞納があることを隠して売ってもよいですか?
隠して売ることはできません。滞納は買主の判断に影響する重要な事実であり、告知が必要です。レントロールに滞納の状況を正確に記載し、いつから・いくら滞納しているか、督促の経緯を伝えます。隠して売却し後から発覚すれば、契約解除や損害賠償を求められるおそれがあります。正しく開示したうえで、承知の買主に売ることが、結果として最も安全で確かな進め方です。

出典民法(賃貸借・賃貸人たる地位の移転・債権の帰属)/宅地建物取引業法(重要事項説明・告知)。滞納の回収・明け渡しの手続きは個別事情により異なるため、弁護士・宅地建物取引士にご確認ください。本記事は一般的な考え方を示すものです。

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監修 — 井口 忠二
株式会社アスパートナー 代表取締役 / 相続対策専門士・公認不動産コンサルティングマスター

明治大学商学部卒業、グロービス経営大学院修了(MBA)。大手不動産会社で東京23区トップセールス2年連続受賞。2017年アスパートナー設立。取引実績120億円超・成約800件超。福岡市7区に特化した投資用不動産・相続対策の専門家。

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