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Baikyaku · 売却

空室がある一棟アパートは売却できる?価格への影響と売り方

— TL;DR —
  • 空室がある一棟アパートでも売却は可能です。買主は満室想定ではなく現況の家賃と空室を織り込んだ実質で判断するため、空室があること自体が売却不可の理由にはなりません。
  • ただし空室は現況利回りを下げ、価格に影響します。満室想定利回りと現況利回りの差が大きいほど、買主は価格を慎重に見積もります。
  • 判断の分かれ目は「空室を埋めてから売るか、現況で売るか」。賃貸付けにかかる時間・費用と、それによる価格上昇を比べて決めます。
  • 買主が本当に見るのは空室の数より「理由」。立地需要・家賃設定・管理・築年のどれが原因かで、評価と売り方が変わります。
  • 空室が多く埋め戻しに時間がかかる場合や、期限があるなら買取も選択肢。仲介と買取の両方の見込みを出して比べるのが確実です。

「空室がある状態では、一棟アパートは売れないのではないか」——そう考えて売却に踏み切れない方は少なくありません。結論から言えば、空室があっても一棟アパートは売却できます。買主の多くは投資家で、満室想定ではなく現況の収益とリスクを数字で判断するため、空室は「売れない理由」ではなく「価格に織り込まれる要素」です。大切なのは、空室が価格にどう影響するかを理解し、埋めてから売るか現況で売るかを、コストと価格上昇を比べて判断することです。本記事では、空室物件の売却可否、価格への影響、埋めてから売るか現況で売るかの判断、空室の理由による評価の違い、売り方、高く売る準備までを、当社のエリアデータと一次情報を交えて整理します。本記事の数値は一般的な目安であり、個別の売却判断や税額は専門家にご確認ください。

空室がある一棟アパートでも売却できる

まず押さえておきたいのは、空室があっても一棟アパートは売却できるということです。買主の中心は収益物件を探す投資家で、彼らは「いまの家賃収入はいくらか」「空室は埋まる立地か」「埋めるのにいくらかかるか」を見て採算を判断します。空室は、買主にとって「リスク」であると同時に、家賃を適正化して埋め戻せば利回りが上がる「伸びしろ」でもあります。実際、空室を前提に取得し、リフォームや募集条件の見直しで稼働を上げて収益を改善する投資家は珍しくありません。

5.8〜15.2%
築21年以上 空室率の幅(7区・当社調べ)
現況利回り
買主が重視するのは満室想定でなく現況
理由>数
買主は空室の「数」より「原因」を見る

福岡市は人口が増加を続ける数少ない政令市で、単身世帯の流入が続いているため、立地が良ければ空室は埋まりやすい市場環境にあります。つまり、空室があっても「埋まる立地」であることを示せれば、買主は前向きに検討します。空室・家賃下落が続くときに「売る・持つ・建て替える」をどう判断するかは福岡の収益物件、空室・家賃下落が続くときでも整理しています。市内の取引価格の傾向は国土交通省 不動産取引価格情報・地価公示でも確認できます。

空室は価格にどう影響するか|満室想定と現況利回り

空室が価格に影響する仕組みは、利回りの計算を見ると分かります。収益物件の価格は「年間家賃収入 ÷ 期待利回り」で評価されるため、空室で家賃収入が下がれば、同じ期待利回りでも評価額は下がります。広告に出る「満室想定利回り」は全室が想定賃料で埋まった前提の数字で、現況に空室があれば実際の収入はそれより少なく、買主が見る現況利回りは下がります。下表は、満室想定と空室がある場合の現況利回りの違いを示した一例です(数値は仕組みを示す例示です)。

状態 年間家賃収入 価格1.5億円での表面利回り
満室想定(10室) 1,200万円 8.0%
2室空室(8室稼働) 960万円 6.4%
4室空室(6室稼働) 720万円 4.8%

※利回りの仕組みを示す例示(1室あたり月10万円・10室と仮定)。実際の賃料・価格は物件で異なります。

この例のように、空室が増えるほど現況利回りは下がり、買主は満室想定の価格では買いにくくなります。ただし、買主が「空室は一時的で、家賃を適正化すればすぐ埋まる」と判断すれば、満室想定に近い評価をすることもあります。逆に「この空室は埋まりにくい」と見れば、現況利回りに加えてリスク分まで差し引きます。満室想定と現況の差をどう説明できるかが価格を左右します。利回りの相場感は福岡市の収益物件の利回り相場もご参照ください。

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空室を埋めてから売るか、現況で売るか

空室物件の売却で最も悩むのが、「埋めてから売るか、現況で売るか」です。判断の基本は、賃貸付けにかかる時間と費用が、それによる価格の上昇分に見合うかどうかです。満室に近づけば現況利回りが上がり価格は伸びますが、原状回復・リフォーム・広告費・フリーレントなどのコストと、埋まるまでの時間がかかります。立地が良く短期間・低コストで埋められるなら埋めてから、埋め戻しに時間と費用がかかりすぎるなら現況のまま、というのが大きな方向性です。

売り方 向くケース 留意点
満室にしてから売る 立地が良く短期・低コストで埋まる 埋め戻しの時間と費用がかかる
現況のまま売る 埋め戻しに時間・費用がかかる/売却を急ぐ 現況利回りで価格が下がりやすい
一部だけ埋めて売る すぐ埋まる部屋と埋めにくい部屋が混在 伸びしろを示しつつ手間を抑える

※どれが有利かは立地・コスト・売却期限で変わります。税引後の手残りで比較してください。

実務では、「すぐ埋まる1〜2室は埋めてから、埋めにくい部屋は現況のまま」という折衷も有効です。すべてを満室にしてから売る必要はなく、買主が伸びしろを評価できる状態に整えることがポイントです。家賃を下げてでも稼働を上げるべきか、現況で売るべきかは、税引後の手残りで比べると判断しやすくなります。

買主は空室の「理由」を見る|評価が変わるポイント

買主が本当に気にするのは、空室の数より「理由」です。同じ「2室空室」でも、理由によって評価はまるで違います。立地需要が弱いための空室なら、買主は埋め戻しに不安を感じ価格を慎重に見ます。一方、家賃を相場より高く設定しているための空室なら、適正賃料に直せば埋まると判断され、評価は下がりにくくなります。管理・募集が不十分なための空室も、買主が管理を見直せば改善余地があると見ます。築年が古く設備が陳腐化している場合は、リフォーム費を織り込んで評価されます。たとえば福岡市でも、東区や博多区など単身需要の厚いエリアの空室は、家賃の適正化や簡単な原状回復で比較的早く埋まりやすく、買主も「埋め戻せる空室」と見ます。一方、駅から遠く周辺需要が細いエリアの空室は、同じ空室数でも埋め戻しに時間がかかると見られ、評価が慎重になります。つまり、空室の評価は「数」ではなく「立地と理由」で決まるのが実際です。

空室の理由を曖昧にしたまま売り出すと、買主は「最悪のケース(埋まらない)」を想定して価格を大きく引きます。むしろ、空室の理由と、それに対する対策(適正賃料・リフォーム・募集強化)をセットで示すほうが、買主は伸びしろを評価しやすく、結果的に価格が守られます。弱点を隠さず、改善余地として開示することが大切です。

空室がある一棟アパートの売り方|仲介と買取

空室物件の売り方も、価格を重視するなら仲介、速度・確実性を重視するなら買取が基本です。立地が良く伸びしろを評価する投資家が見込めるなら、仲介で現況の収益と将来性を訴求して価格を狙えます。一方、空室が多く埋め戻しに時間と費用がかかる、相続・納税で期限がある、再生に手をかけたくない、といった場合は、買取の確実性が活きます。買取は不動産会社が再販やリフォームを前提に直接買い取るため、空室が多くても確実・短期に現金化できます。

仲介で売り出すときは、買主が投資家であることを意識し、「現況利回り」と「適正賃料で埋めた場合の想定利回り」の両方を提示するのが効果的です。投資家は現況の安全性と、埋め戻したときの伸びしろの両面で物件を評価します。現況だけを見せると割安に映り、満室想定だけを見せると過大に映るため、両方を根拠とともに示すことで、価格の納得感が高まります。周辺の成約事例や募集賃料を添えれば、買主は「自分が運営したらどうなるか」を具体的に描けます。

どちらが得かは、空室の状態とご事情で変わります。仲介で一定期間試し、期限が近づいたら買取に切り替える併用も有効です。大切なのは、仲介の想定価格(埋めた場合・現況のまま)と買取の確定価格を並べ、税引後の手残りで比べることです。仲介と買取の損得は福岡市の収益物件、仲介売却と自社買取はどちらが得かで詳しく整理しています。

空室があるとき高く売るための準備

空室があっても、準備次第で価格は変わります。要は「空室の理由と伸びしろを、買主が判断できる材料で示す」ことです。以下を整えておくと、買主はリスクを過大に見積もらずに済みます。

こうした準備は、そのまま査定価格の根拠と買主への説明材料になります。一棟アパート売却の判断軸全体は福岡市で一棟アパートを売却するなら最初に見るべき判断軸、福岡市のアパート相場は福岡市のアパート売却相場もあわせてご覧ください。空室を「弱み」で終わらせず「伸びしろ」として示せるかが、価格を守る分かれ目になります。

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空室がある一棟アパートの売却に関するよくあるご質問

空室が多くても一棟アパートは売れますか?
売れます。買主の中心は投資家で、満室想定ではなく現況の家賃と空室を織り込んで採算を判断します。空室は「売れない理由」ではなく「価格に織り込まれる要素」であり、埋め戻せば利回りが上がる伸びしろとも捉えられます。立地が良く埋まる見込みを示せれば、買主は前向きに検討します。

空室があると価格はどのくらい下がりますか?
一律ではありません。価格は「年間家賃収入÷期待利回り」で評価されるため、空室で家賃収入が下がると評価額も下がります。ただし、空室が一時的で適正賃料ですぐ埋まると判断されれば、満室想定に近い評価になることもあります。逆に埋まりにくいと見られると、現況利回りに加えてリスク分まで差し引かれます。空室の理由の説明が価格を左右します。

空室を埋めてから売ったほうがよいですか?
賃貸付けにかかる時間・費用が、それによる価格上昇に見合うかで判断します。立地が良く短期間・低コストで埋められるなら埋めてから、埋め戻しに時間と費用がかかりすぎるなら現況のまま売るほうが合理的です。すぐ埋まる部屋だけ埋めて、埋めにくい部屋は現況で売る折衷も有効です。税引後の手残りで比べるのが確実です。

空室の理由は買主に伝えたほうがよいですか?
伝えたほうが有利です。理由を曖昧にすると、買主は「埋まらない」最悪のケースを想定して価格を大きく引きます。家賃設定・募集状況・設備・立地のどれが原因かと、その対策(適正賃料・リフォーム・募集強化)をセットで示すと、買主は伸びしろを評価しやすくなり、結果的に価格が守られます。

空室が多い物件は買取のほうがよいですか?
空室が多く埋め戻しに時間・費用がかかる場合や、相続・納税で期限がある場合は、買取の確実性が活きます。買取は再販・リフォーム前提で直接買い取るため、空室が多くても短期・確実に現金化できます。一方、立地が良く伸びしろを評価する投資家が見込めるなら仲介で価格を狙えます。両方の見込みを出して比べるのがおすすめです。

売却前に何を準備すればよいですか?
レントロール(各部屋の賃料・契約状況・空室期間)、空室の理由の整理、周辺の募集賃料・成約事例、原状回復やリフォームの概算と埋めた場合の想定利回り、修繕履歴です。すぐ埋められる部屋は売り出し前に賃貸付けして実績を作ると、買主の不安が下がり評価が上がりやすくなります。

Sources
国土交通省「不動産取引価格情報・地価公示」/福岡市「人口・世帯数統計」/築年帯別の空室率は当社調べ(2026年版 福岡市7区エリアデータ)。本文中の利回り計算は仕組みを示す例示で、実際の賃料・価格は物件により異なります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の売却判断・税額算定は専門家にご確認ください。
監修 — 井口 忠二
株式会社アスパートナー 代表取締役 / 相続対策専門士・公認不動産コンサルティングマスター

明治大学商学部卒業、グロービス経営大学院修了(MBA)。大手不動産会社で東京23区トップセールス2年連続受賞。2017年アスパートナー設立。取引実績120億円超・成約800件超。福岡市7区に特化した投資用不動産・相続対策の専門家。

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