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Toushi · 投資

福岡市の築古アパート投資は買いか|リスクと実質ROAの見方

— TL;DR —
  • 福岡市の築古アパート投資は「一律に買い/見送り」ではなく、「高利回りの理由・融資と出口・実質ROA」の3点を分けて確認すると判断を誤りません。
  • 築古で表面利回りが上がるのは、価格が下がりリスクが織り込まれた結果でもあります。博多区の築31年以上帯は表面8.2%まで上がる一方、空室率も11.4%まで上がります(当社調べ)。
  • 最大の壁は融資期間。木造の法定耐用年数は22年で、これを超えると借入期間が短くなり、買える人も出口の買主も絞られます。
  • 判断は表面利回りではなく実質利回り(NOI利回り)とROA・税引後手残りで行います。運営費・空室損・修繕を引くと、表面8%でも実質5%前後に落ちる例が珍しくありません。
  • 築古は「収益で持つ物件」か「土地値で出口を取る物件」かで戦略が変わります。買う前に出口(誰にいくらで売るか)まで想定できるかが成否を分けます。

「福岡市の築古アパートは表面利回りが高いから買いなのでは」——収益物件を探していると、築古・高利回りの物件に目が留まる場面は多いと思います。ただ、利回りの数字だけで判断すると、融資や空室、修繕、そして出口といった築古特有のリスクを見落としがちです。築古アパート投資は、条件が合えば手残りを厚く取れる一方、価格の安さに潜むリスクを読み違えると空室・修繕で収支が崩れます。本記事では、福岡市の築古アパート投資が「買い」かどうかを、高利回りの構造・主なリスク・実質利回りとROAの見方・7区のエリア差・出口戦略まで、実データと一次情報で順に整理します。本記事の数値は一般的な目安であり、個別の投資判断や税額は専門家にご確認ください。

福岡市の築古アパート投資は「買い」か|結論と判断の3軸

結論から申し上げると、福岡市の築古アパート投資は「一律に買い」でも「一律に見送り」でもありません。物件ごとに条件が大きく異なるため、次の3軸で分けて確認することが出発点になります。第一に高利回りの理由。その表面利回りの高さが「割安だから」なのか「需要が薄く価格が下がっているから」なのかで、意味は正反対になります。第二に融資と出口。自分が組める融資期間と、数年後に売るときの買主の融資が付くかを、買う前に見ておく必要があります。第三に実質ROAと税引後手残り。表面利回りではなく、運営費・空室損・修繕・返済・税を引いた後に手元へ残る収益で採算を判断します。

この3軸のうち一つでも曖昧なまま「利回りが高いから」で決めると、購入後に空室や修繕で収支が崩れるリスクが高まります。逆に、この3軸を数字で説明できる築古物件は、新築・築浅より少ない自己資金で厚い手残りを狙える投資対象になり得ます。投資判断の基礎の物差しは福岡市で一棟アパート・収益物件を買うなら最初に見るべき数字で確認できます。

「築古=危険」でも「築古=お得」でもない

築古アパートは、しばしば「危険だからやめておけ」とも「利回りが高くてお得」とも語られますが、どちらも一面的です。正しくは、リスクとリターンが表裏で大きくなる投資対象だと捉えるのが実態に近い理解です。価格が下がっているぶん利回りは高く出やすく、同時に空室・修繕・融資のリスクも高まります。だからこそ、雰囲気ではなく物件ごとの数字で「このリスクなら、このリターンは見合うか」を確かめる姿勢が欠かせません。

福岡市で築古アパートが投資対象になる理由|高利回りと価格の構造

福岡市の築古アパートが投資対象として検討される背景には、市場の土台と価格構造の二つがあります。土台としては、福岡市が政令指定都市の中でも人口が増え続けている数少ない都市で、単身・学生・転勤層を中心に賃貸需要が縮みにくい点があります(福岡市統計)。価格構造としては、築年数が進むほど価格が下がり、賃料の下がり方が緩やかなエリアでは表面利回りが高く出やすい点が挙げられます。都心部で同規模の物件を取得するより少ない自己資金で一棟に手が届く価格帯が多いことも、築古が入口として選ばれる理由です。

8.2〜10.8%
福岡市7区 築31年以上帯の表面利回りの幅(当社調べ)
11〜15%
同・築31年以上帯の空室率の幅(当社調べ)
築22
木造の法定耐用年数(融資期間の目安・国税庁)

下表は博多区の一棟RCを例に、築年帯ごとの表面利回り・成約価格・空室率を整理したものです(当社調べ〈2026年版 福岡市7区エリアデータ〉)。築年数が進むほど利回りが上がる一方で、価格が下がり空室率も上がるという「築古のトレードオフ」がはっきり読み取れます。利回りの高さは、裏を返せば価格にリスクが織り込まれた結果でもあるという点が、築古投資を見るうえでの核心です。

築年帯 表面利回りの目安 成約価格の目安 空室率の目安
築10年以内 4.6% 3.8億円 3.2%
築11〜20年 5.4% 2.8億円 4.8%
築21〜30年 6.8% 1.9億円 7.2%
築31年以上 8.2% 1.2億円 11.4%

※博多区の一棟RCを例にした当社調べ〈2026年版 福岡市7区エリアデータ〉。立地・状態で前後します。

つまり築古で高い利回りを取りにいくことは、上がった空室リスクと将来の修繕負担を引き受けることでもあります。その利回りが引き受けるリスクに見合うかを一つずつ確かめる姿勢が、築古アパート投資の基本です。福岡市の利回りの相場観は福岡市 収益物件の利回り相場で築年・エリア別に整理しています。

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築古アパート投資の主なリスク|融資・空室・修繕・出口

築古アパート投資で押さえるべきリスクは、大きく融資・空室・修繕・出口の4つです。順に見ていきます。まず融資。多くの金融機関は「法定耐用年数 − 経過年数」を融資期間の目安にします。木造の法定耐用年数は22年なので、築25年の木造は原則として長期の借入が組みにくく、短期返済か独自評価のローンに限られます。返済期間が短いほど毎月の返済は重くなります。次に空室。前掲のとおり築31年以上帯の空室率は11〜15%に達し(当社調べ)、需要の薄いエリアでは一度退去が出ると埋め戻しに時間がかかります。

3つ目の修繕は、築古で最も見落とされやすいコストです。外壁・屋上防水・給排水管・屋根などは築20年を超えると更新時期が重なりやすく、一棟あたり数百万円規模の出費が発生することがあります。表面利回りにはこの修繕費が含まれていないため、購入前に修繕履歴と次回更新時期を確認しないと、想定した利回りが絵に描いた餅になりかねません。4つ目の出口は、自分が売るときに買主の融資が付くかという問題です。自分が現金で買えても、数年後の買主が融資を使えなければ、売れる相手は現金買いの層に絞られ、価格交渉も入りやすくなります。築古は「買うときの融資」と「売るときの買主の融資」を両方見ておく必要があります。

「高利回りだから安全」ではありません。築古アパートの表面利回りの高さは、価格に空室・修繕・融資のリスクが織り込まれた結果であることが少なくありません。特に需要の薄いエリアの築31年以上物件、接道や再建築に難がある物件は、市場が活発でも買主が絞られます。利回りの数字だけで判断せず、修繕履歴・入居状況・融資条件・出口を必ず確認してください。

表面利回りに騙されない|実質利回りとROAで見る(計算例)

築古アパート投資の採算は、表面利回り → 実質利回り(NOI利回り)→ ROA・税引後手残りの順に引き直して判断します。表面利回りは年間の満室想定賃料を価格で割った数字で、運営費も空室も反映していません。実質利回りは、固定資産税・管理費・修繕費・空室損などの運営コストを差し引いた後の収益(NOI)で計算します。下表は、価格8,000万円・築28年の木造一棟アパートを想定した計算例です(数値はあくまで例示。実際の物件で前後します)。

項目 金額・数値(例示) 備考
物件価格 8,000万円 築28年・木造一棟
満室想定年間賃料 640万円 表面利回り 8.0%
空室・滞納損(稼働率85%想定) −96万円 実効総収入 544万円
運営費(固定資産税・管理・修繕・保険等) −136万円 実効収入の約25%
NOI(純収益) 408万円 実質利回り(NOI÷価格) 5.1%

※計算のための例示です。運営費率・稼働率は物件で大きく異なります。

この例では、広告上の表面利回り8.0%が、運営費と空室損を引くと実質利回り5.1%まで下がります。さらにここから融資の元利返済を引いた手元キャッシュフロー、売却時の譲渡所得税まで考えると、実際の手残りはもう一段小さくなります。築古は運営費率が高く、大規模修繕の一時費用も乗りやすいため、この「表面と実質の差」が特に開きやすいのが特徴です。表面利回りと実質利回りの計算の基礎は表面利回りと実質利回りの違いで詳しく解説していますので、数字の作り方を確認したうえで物件を比較すると精度が上がります。

福岡市7区で築古アパート投資を見る|エリア別の利回りと空室率

「福岡市の築古アパート」と一括りにせず、区ごとの実データで確かめることが重要です。下表は福岡市7区の一棟RC平均表面利回り・1K平均賃料・築31年以上帯の空室率を整理したものです(当社調べ〈2026年版 福岡市7区エリアデータ〉)。城南区・西区は築古の高利回りが取りやすい一方で空室率も14〜15%と高く、中央区・博多区は利回りは低めでも空室率が安定するという、エリアによるリスクの質の違いが読み取れます。

平均表面利回り 1K平均賃料(月) 空室率(築31年以上)
中央区 4.8% 13,820円 9.2%
博多区 5.4% 12,480円 11.4%
早良区 5.8% 10,340円 12.0%
東区 6.2% 9,420円 12.8%
南区 6.5% 8,860円 13.8%
城南区 6.8% 8,240円 14.5%
西区 7.1% 7,920円 15.2%

※当社調べ〈2026年版 福岡市7区エリアデータ〉。空室率は築31年以上帯の目安で、立地・状態で前後します。

築古アパート投資では、この空室率の差が収支を左右します。城南区は福岡大学を中心とした学生需要、西区は姪浜・今宿の住居需要と、需要の質もエリアで異なります。高利回りに惹かれて需要の薄い立地の築古を掴むと、一度の退去で埋め戻しに時間がかかり、実質利回りが一気に沈むことがあります。逆に中央区・博多区は利回りこそ低いものの、駅徒歩圏の築古であれば空室リスクを抑えつつ土地値が価格を支えるため、出口が読みやすい傾向があります。7区の相場・買主層の比較は福岡市7区の不動産相場・利回り・買主層を徹底比較で詳しく確認できます。

築古アパートの出口戦略|「収益で持つ」か「土地値で売る」か

築古アパート投資は、買う前に出口(数年後に誰へ・いくらで売るか)を想定できるかで成否が分かれます。出口の型は大きく二つです。一つは収益で持ち続けて回収する型で、賃貸需要の底堅いエリアで、修繕を計画的に行いながらキャッシュフローを積み上げる考え方です。もう一つは土地値で売る型で、建物の価値がほぼゼロになっても、土地の評価が高いエリアであれば「土地値+α」で買主が付くという出口です。福岡市では中央区・博多区など地価の高いエリアで、築古木造でも土地値が価格を支える例があり、耐用年数切れが必ずしも不利とは限りません。

どちらの型を狙うかで、選ぶべき物件も運営方針も変わります。収益で持つ型なら空室率の低いエリアと計画的修繕が要になり、土地値で売る型なら土地の形状・接道・容積率と地価動向が要になります。保有を続けた場合と売却した場合をROAと税引後手残りで並べて比べると整理しやすくなります。築古を「売るか持つか」で迷う局面の考え方は築古アパートは売るべきか持ち続けるべきか、出口としての売却で買主が見る点は福岡市でアパートを売却する|築20年・30年でも高く売る出口戦略で整理していますので、購入検討の段階から出口をイメージしておくことをおすすめします。

福岡市で築古アパート投資に失敗しないためのチェックポイント

ここまでの内容を、購入前のチェックリストとして整理します。次の点を数字で答えられる状態にしてから判断すると、価格の安さに潜むリスクを取りこぼしにくくなります。

これらを確認したうえで、複数の物件を同じ物差しで比較してから決めることが、築古アパート投資で失敗を避ける近道です。福岡市が投資先に選ばれる市場の背景は福岡の不動産投資が東京・大阪より有利と言われる理由で確認できます。

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よくあるご質問

福岡市の築古アパート投資は初心者でも買って大丈夫ですか?
築古は利回りが高い反面、融資・空室・修繕・出口のリスクが新築より大きいため、初めての一棟としては数字の確認に慣れが必要です。表面利回りではなく実質利回り・ROA・税引後手残りで採算を確認し、修繕履歴と融資条件、出口まで見極められるかが判断の分かれ目になります。不安があれば、まず物件ごとの数字を第三者と一緒に確認してから決めるのが安全です。

築古アパートの表面利回りが高いのはなぜですか?
築年数が進むと建物価値が下がって価格が下がる一方、賃料の下がり方が緩やかなエリアでは、価格に対する家賃の比率(表面利回り)が高く出やすくなるためです。ただしこの高さは、空室リスクや修繕負担、融資の付きにくさが価格に織り込まれた結果でもあります。博多区の例では築31年以上帯で表面8.2%まで上がりますが、空室率も11.4%まで上がります(当社調べ)。

築古の木造アパートでも融資は使えますか?
使える場合もありますが、木造の法定耐用年数22年を超えると融資期間が短くなりやすく、借入は短期返済か独自評価のローンに絞られる傾向があります。返済期間が短いほど毎月の返済が重くなり、手元キャッシュフローが薄くなります。自分が組める融資期間と、売却時に買主の融資が付くかの両方を、購入前に確認しておくことが重要です。最終的な融資条件は金融機関の審査によります。

築古アパートで見落としやすいコストは何ですか?
最も見落とされやすいのが大規模修繕です。外壁・屋上防水・給排水管などは築20年を超えると更新時期が重なりやすく、一棟あたり数百万円規模の出費になることがあります。表面利回りにはこの費用が含まれないため、修繕履歴と次回更新時期・概算費用を確認し、実質利回りに反映して採算を見ることが欠かせません。固定資産税・管理費・空室損も同様に差し引いて判断します。

福岡市で築古アパート投資に向いている区はどこですか?
狙う出口によって分かれます。土地値で出口を取る型なら、地価が高く築古でも土地が価格を支えやすい中央区・博多区が向きます。収益で持つ型で高利回りを取りたいなら城南区・西区も候補ですが、築31年以上帯の空室率が14〜15%と高い(当社調べ)ため、駅距離や需要層の見極めがより重要になります。利回りの高さと空室リスクはトレードオフである点を踏まえて選ぶことが大切です。

築古アパートを買うとき、出口はどう考えればよいですか?
購入前に「収益で持ち続けて回収する型」か「土地値で売る型」かを決めておくと、選ぶ物件も運営方針も定まります。収益型なら空室率の低いエリアと計画的な修繕が要になり、土地値型なら土地の形状・接道・容積率と地価動向が要になります。保有と売却をROA・税引後手残りで並べて比較すると、いつ・誰に売るかの見当が付けやすくなります。

Sources
当社調べ「2026年版 福岡市7区エリアデータ」(築年帯別の表面利回り・成約価格・空室率・1K賃料)/国税庁「減価償却のあらまし(耐用年数)」/国土交通省「地価公示・不動産取引価格情報」/福岡市「人口・統計情報」。計算例は説明のための例示であり、融資条件は金融機関の審査、税額の算定・申告は税理士にご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、投資判断は最終的にご自身の責任でお願いいたします。

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監修 — 井口 忠二
株式会社アスパートナー 代表取締役 / 相続対策専門士・公認不動産コンサルティングマスター

明治大学商学部卒業、グロービス経営大学院修了(MBA)。大手不動産会社で東京23区トップセールス2年連続受賞。2017年アスパートナー設立。取引実績120億円超・成約800件超。福岡市7区に特化した投資用不動産・相続対策の専門家。

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