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Baikyaku · 売却

築古アパートは売るべきか持ち続けるべきか|福岡市の判断軸

— TL;DR —
  • 築古アパートを「売る」か「持ち続ける」かは、感情ではなく収益力・市場見通し・税引後の手残りの3軸を数字で並べてから判断すると整理しやすくなります。
  • 持ち続けるほど、空室率・大規模修繕・融資期間の短期化が効いてきます。福岡市7区でも築31年以上は表面利回り7.4〜10.8%が出る一方、空室率は9.2〜15.2%まで上がります(当社調べ・2026年版)。
  • 売る場合に効くのが譲渡所得税。所有5年超の長期は20.315%、5年以下の短期は39.63%と税率がほぼ倍違い、減価償却が進んだ築古は譲渡益が出やすい点に注意です。
  • 「いま売る/持って様子を見る」の二択に見えても、実際は売却・保有継続・資産組み換え・建て替えの4つの選択肢があります。出口は一つではありません。
  • 判断の物差しは、保有を続けた場合の累計手残りと、いま売って再投資した場合の手残りをROA(実質収益率)で同じ土俵に乗せて比べること。数字で並べれば後悔の少ない選択ができます。

築20年・30年を超えたアパートをお持ちの方からよく挙がるのが、「このまま持ち続けるべきか、それとも売るべきか」という悩みです。結論から言えば、どちらが正解かは物件とオーナーの状況で変わり、一律の答えはありません。大切なのは、「まだ家賃が入っているから」「手放すのは惜しいから」といった感覚ではなく、収益力・市場見通し・税引後の手残りを数字で並べて比べることです。本記事では、福岡市の築古アパートを念頭に、売る・持つを判断する3つの軸、持ち続ける場合のコストとリスク、売る場合の損得、福岡市の市場見通し、税金と手残りの比べ方、そして4つの選択肢までを、当社のエリアデータと一次情報を交えて整理します。本記事の数値は一般的な目安であり、個別の判断・税額は税理士・専門家にご確認ください。

売るか持つかは「3つの軸」で決める

築古アパートの出口を考えるとき、最初に押さえたいのが判断の3軸です。第一に収益力。いまの入居率・実質利回り・今後の家賃下落余地を見て、これから安定して収益を生み続けられるかを確認します。第二に市場見通し。エリアの賃貸需要と売却市場が、数年後も買主・入居者を集められるかを見ます。第三に税引後の手残り。持ち続けた場合に手元に積み上がる金額と、いま売った場合に税・諸費用を引いて残る金額を、同じ物差しで比べます。この3軸を数字にすると、「なんとなく不安」「なんとなく惜しい」という感覚が、具体的な比較に変わります。

7.4〜10.8%
築31年以上 表面利回りの幅(7区・当社調べ)
9.2〜15.2%
築31年以上 空室率の幅(7区・当社調べ)
20.315/39.63%
譲渡所得税 長期/短期の税率

注意したいのは、表面利回りが高く見えても、それは価格が下がっている結果であり、空室率の高さと表裏一体だという点です。「利回りが出ているから持ち続ける」のではなく、空室損や修繕費を引いた実質の手残りで判断することが出発点になります。相続した物件で売却か保有かを迷う場合は、判断軸を整理した福岡の相続不動産、売却か保有かもあわせてご参照ください。

持ち続ける場合のコストとリスク

「売らずに持ち続ける」選択には、家賃収入というメリットの裏で、見落とされやすいコストとリスクが伴います。第一に空室率の上昇。築年が進むほど競争力が落ち、空室が埋まりにくくなります。第二に大規模修繕。外壁・屋上防水・給排水管の更新時期が重なると、まとまった支出が発生します。第三に融資期間の短期化。木造の法定耐用年数は22年(国税庁)で、これを超えると次の買主も含めて融資が付きにくくなり、持ち続けるほど将来の売却で買主が絞られます。下表は7区を通した築年数帯ごとの利回りと空室率の幅です。

築年数帯 表面利回りの幅(7区) 空室率の幅(7区) 持ち続ける際の留意点
築11〜20年 4.8〜7.1% 3.9〜7.2% 融資はまだ付きやすい
築21〜30年 5.9〜8.6% 5.8〜10.4% 修繕計画と空室対策が要
築31年以上 7.4〜10.8% 9.2〜15.2% 融資が短く出口が狭まる

※当社調べ(2026年版 福岡市7区エリアデータ)の幅。区・立地・構造・入居状況で変動します。

持ち続ける判断が合理的なのは、立地が良く空室が埋まり続け、大規模修繕の見通しが立っていて、ローン完済後の安定収入を見込めるケースです。逆に、空室が増え修繕費がかさみ、融資の付きにくさで出口が狭まっていく見通しなら、持ち続けるほど条件が悪化することもあります。空室や家賃下落が続くときの考え方は福岡の収益物件、空室・家賃下落が続くときでも整理しています。

持ち続けた場合と売った場合、どちらが手元に残るか。

保有を続けた場合の累計手残りと、いま売却した場合の税引後手残りを、ROA(実質収益率)で同じ土俵に並べて試算します。代表 井口が中立の立場で整理します。完全無料・しつこい営業はいたしません。

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売る場合に得られるもの・手放すもの

売る選択には、はっきりしたメリットがあります。第一に現金化。まとまった資金を手にし、より収益性・管理効率の高い物件への組み換えや、納税・生活資金に充てられます。第二に価格が下がる前の出口。築年が進むほど融資が付きにくくなり買主が絞られるため、「売れるうちに売る」ことで価格の取りこぼしを防げます。第三に管理・空室・修繕の負担から解放されること。一方で手放すのは、将来の家賃収入と、保有し続けた場合に得られたかもしれない値上がりの可能性です。

売ると決めた場合も、売り方は一つではありません。価格を重視するなら市場で買主を探す仲介、速度や確実性を重視するなら買取が向きます。築古は買主が絞られるため、立地と入居状況によって最適な売り方が変わります。仲介と買取の損得は福岡市の収益物件、仲介売却と自社買取はどちらが得かで、築古を高く売る出口戦略は福岡市でアパートを売却する|築20年・30年でも高く売る出口戦略で詳しく整理しています。

福岡市の市場見通し|持ち続ける価値があるエリアか

売る・持つの判断は、その物件があるエリアの賃貸需要と売却市場の見通しに大きく左右されます。福岡市は政令市の中でも数少ない人口増加都市で、単身世帯の流入が続いているため、賃貸需要の母数は底堅く推移しています。ただし、需要の強さは区によって差があります。下表は7区の平均表面利回りと一棟RC成約中央値で、エリアの位置づけを俯瞰したものです。

平均表面利回り 一棟RC成約中央値 築古を持ち続ける際の視点
中央区・博多区 4.8〜5.4% 2.8〜3.5億円 土地値が下支え・出口は取りやすい
早良区・東区 5.8〜6.2% 1.6〜1.9億円 住居需要が底堅く安定運用向き
南区・城南区・西区 6.5〜7.1% 1.1〜1.4億円 需要選別が前提・空室対策が要

※当社調べ(2026年版 福岡市7区エリアデータ)。立地・築年・状態で前後します。

ポイントは、築古アパートは「建物」より「土地」で評価される局面が増えることです。中央区・博多区など土地値の高いエリアなら、建物が古くても土地が価格を下支えし、持ち続けても出口を取りやすい傾向があります。一方、周辺部で土地値が限定的なエリアは、空室と家賃下落が進むと収益・売却価格の両面で厳しくなりやすく、早めの判断が手残りを左右します。区ごとの相場や買主層の違いは福岡市7区の不動産相場・利回り・買主層を徹底比較もご参照ください。

税金と手残りで比べる|譲渡所得税と減価償却

売る・持つの最終判断は、税引後の手残りで比べて初めて見えてきます。売却益(譲渡所得)には譲渡所得税がかかり、所有期間で税率が変わります。所有5年超の長期は約20.315%、5年以下の短期は約39.63%と、ほぼ倍の差があります(復興特別所得税・住民税を含む。国税庁)。所有期間は売却した年の1月1日時点で判定される点にも注意が必要です。

築古で特に効くのが減価償却の影響です。譲渡所得は「売却価格 −(取得費 − 減価償却累計)− 譲渡費用」で計算するため、長く保有して償却が進んだ物件は帳簿上の取得費が目減りし、取得時より安く売っても譲渡益が大きく出て、税額が想像より膨らむことがあります。「持ち続けて減価償却で節税してきたが、いざ売ると譲渡税が重い」というのは築古でよくある誤算です。持ち続ける場合の累計手残り(家賃 − 運営コスト − 修繕 − 税)と、いま売って手にする手残りを、同じ物差しで並べて比べることが大切です。

「安く売るから税金はかからない」と考えるのは禁物です。減価償却が進んだ築古は、売却価格が取得時を下回っても譲渡益が出て課税されることがあります。売る前に取得費・減価償却累計・諸費用を整理し、税引後の手残りまで試算しておくと、想定外の納税を避けられます。最終的な税額の算定・申告は税理士にご確認ください。

売る・持つだけではない|4つの選択肢

「売る」か「持ち続ける」かの二択に見えても、実際には次の4つの選択肢があります。自分の物件と方針に合うものを、手残りで比べて選びます。

たとえば、収益は細っているが土地値の高い物件なら、保有継続より資産組み換えで都心の一棟RCへ入れ替えるほうが、管理負担を減らしつつ手残りを伸ばせることがあります。複数物件を一棟に集約する考え方は福岡の不動産資産組み換えで整理しています。どの選択肢が最も手元に残るかは、ROAと税引後手残りで横並びにして初めて判断できます。

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判断を誤らないためのチェックリスト

最後に、売る・持つを決める前に確認したい項目を整理します。感覚ではなく数字で埋めていくことで、後悔の少ない判断につながります。

これらを一つずつ確認すれば、「なんとなく持ち続ける」「焦って売る」のどちらも避けられます。一棟アパート売却の判断軸全体は福岡市で一棟アパートを売却するなら最初に見るべき判断軸でも整理していますので、あわせてご覧ください。迷うときは、第三者の中立な視点でセカンドオピニオンを取るのも有効です。

よくあるご質問

築古アパートは、早く売ったほうがよいのでしょうか?
一律ではありません。立地が良く空室が埋まり続け、大規模修繕の見通しが立つなら、持ち続けて安定収入を取る判断も合理的です。一方、空室や家賃下落が進み、融資の付きにくさで出口が狭まる見通しなら、価格が下がる前に売るほうが手残りを確保しやすくなります。収益力・市場見通し・税引後手残りの3軸を数字で並べて判断してください。

持ち続けると、どんなコストやリスクがありますか?
主に、築年経過による空室率の上昇、外壁・防水・給排水などの大規模修繕費、そして融資期間の短期化です。木造は法定耐用年数22年を超えると次の買主の融資が付きにくくなり、持ち続けるほど将来の売却で買主が絞られます。福岡市7区でも築31年以上は空室率9.2〜15.2%が目安で、空室損と修繕費が手残りを圧迫しやすくなります(当社調べ)。

安く売っても税金はかかりますか?
かかることがあります。築古は減価償却が進んで帳簿上の取得費が目減りしているため、取得時より安く売っても譲渡益が出て課税される場合があります。所有5年超なら約20.315%、5年以下なら約39.63%の税率です。売る前に取得費・減価償却累計・諸費用を整理し、税引後の手残りまで試算しておくと安心です。最終的な税額は税理士にご確認ください。

売る・持つ以外の選択肢はありますか?
あります。売却・保有継続のほかに、売却資金でより収益性や相続適性の高い物件へ入れ替える「資産組み換え」、土地値が高く立地が良ければ「建て替え・再活用」という選択肢があります。収益が細っていても土地値の高い物件なら、組み換えで都心の一棟RCへ入れ替えるほうが手残りを伸ばせることもあります。4つの選択肢を手残りで比べるのがおすすめです。

どのエリアの築古なら持ち続ける価値がありますか?
土地値が価格を下支えするエリアです。中央区・博多区など土地評価の高いエリアは、建物が古くても土地が価格を支え、出口を取りやすい傾向があります。一方、周辺部で土地値が限定的なエリアは、空室と家賃下落が進むと収益・売却の両面で厳しくなりやすいため、早めの判断が手残りを左右します。区ごとの位置づけを確認したうえで判断してください。

売るか持つか、自分だけで判断できますか?
収益力・市場見通し・税引後手残りの3軸が数字で整理できていれば、方向性は見えてきます。ただし、保有継続の累計手残りと売却時の手残りを同じ物差し(ROA・税引後)で比べるには、所有期間・減価償却・修繕計画が絡みます。売却・保有・組み換え・建て替えの4択を第三者に横並びで整理してもらうと、判断が確実になります。

Sources
国税庁「土地や建物を売ったときの税金(長期・短期譲渡所得)」「減価償却のあらまし(法定耐用年数)」/国土交通省「不動産取引価格情報・地価公示」/表面利回り・空室率・成約中央値は当社調べ(2026年版 福岡市7区エリアデータ)。本記事は一般的な情報提供であり、個別の売却・保有判断・税額算定は専門家にご確認ください。
監修 — 井口 忠二
株式会社アスパートナー 代表取締役 / 相続対策専門士・公認不動産コンサルティングマスター

明治大学商学部卒業、グロービス経営大学院修了(MBA)。大手不動産会社で東京23区トップセールス2年連続受賞。2017年アスパートナー設立。取引実績120億円超・成約800件超。福岡市7区に特化した投資用不動産・相続対策の専門家。

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